猫の死亡原因トップの病気は?
【やっぱり怖いあの病気】
愛猫にずっと元気で長生きしてほしいと願うなら、まず飼い主が猫の病気に関する正しい知識を身につけておくことが大事です。
猫の発症率が高く、寿命にも関わってくる病気の代表的なものが泌尿器系疾患です。
病気になる猫の半数近くが泌尿器系の疾患で、12歳以上の猫の1/3が発症するといわれています。
ペット保険会社のデータでは、12歳以上の猫の死亡率の1位が泌尿器系疾患で、全体の30%以上を占めています。
【泌尿器はどんな構造か】
泌尿器とは尿を作り排泄する気管の総称で、左右2つの腎臓、尿管、尿道と、一つの膀胱から構成されています。
尿管、膀胱、尿道を合わせて「尿路」といい、腎臓と尿管までの「上部尿路」と、膀胱と尿道の「下部尿路」に分かれ、オスとメスでは構造が異なります。
病気でとくに多いのは膀胱炎や尿石症などの下部尿路疾患と慢性腎不全です。
下部尿路疾患はオスに多くみられ、慢性腎不全は高齢になるほど増えてきます。
【なぜ慢性腎不全が多いのか】
猫の先祖リビアヤマネコは砂漠地帯で暮らしていたので、あまり水を飲まなくても水分を体内で効率よく利用し、濃縮された尿を出す体の構造をしているとされます。
猫もその体を継承しています。
腎臓は血液をろ過して尿を作る装置です。
濃い尿を出すことで猫の腎臓は常に負担がかかり、加齢とともに疲労し、徐々に機能が低下していきます。
猫の腎臓に約20万個あるといわれるネフロンの60%が壊れると、血液のろ過が正常にできなくなり、老廃物が排出されずに腎不全の症状が現われます。
慢性腎不全は長い年月をかけて生じる病気で、15歳以上では15%の発症率とされています。
【膀胱炎や尿石症にも注意】
濃縮された尿は、ミネラルが固まって結晶や結石ができやすくなり、膀胱炎や尿石症などの下部尿路疾患を起こしやすくなります。
これは若い猫でも起こります。
さらにオスは尿道が細長くS字にカーブしているので結石ができると詰まりやすく重症化しやすいです。
一方メスは尿道が短いため細菌感染による膀胱炎になりやすいとされますが、そう多くはありません。
これらの疾患は初期であれば食事療法や投薬によって抑えることが可能です。
オスは結石ができやすい体質になっていないか定期的に検査をしてもらいましょう。
【健康寿命のために定期検診を】
高齢の猫は慢性腎不全や尿石症、腫瘍によって寿命を縮めてしまう例が大変多いです。
腎臓は肝臓とともに沈黙の臓器と呼ばれ、変化が外に表れにくく、病気の症状がでたときはすでにかなり進行しています。
また猫の腫瘍は70%以上が悪性で、発見時すでに病状が進んで治療できずに亡くなる例も少なくありません。
しかし定期検診を受けていれば早期の発見・治療が可能だったケースは多いのです。
健康寿命を願うなら、年1回は検診を受けさせることが重要です。
【水をたくさん飲んでもらうには】
〇室内の数か所に水を用意する。
〇まめに取り替え、常に新鮮な水を用意する。
〇多頭飼いでは容器ごとこまめに取り替える。
〇容器はヒゲのあたらない広口のものを使用する。
〇老猫や冬季に冷たい水を飲みたがらない場合は、湯冷ましを与えてみる。
【まとめ】
泌尿器系疾患の予防には、ふだんから水をたくさん飲むこと。
お読みいただきありがとうございました。