
老犬に適度な運動をさせる
【老犬をただ寝かせていると】
若いころの愛犬なら、今まで外で音がしたり、他の犬の鳴き声が聞こえたりすると、すぐに起き上がって異変がないか見てまわったと思います。
それが老犬になってくると、寝てばかりになります。
ちょっと耳を動かしたり、目を開けたりするだけで動こうとしなくなります。
以前のように自分のテリトリーに何かあったら大変と見に行ったりしなくなります。
もっと老犬になると、気づきもしないで寝てばかりになります。
年老いてきたから仕方がないと寝かせておく飼い主が多いようですが、ただ寝かせていると寝たきりになってしまいます。
【寝かせているだけではダメ】
猫は犬と違って単独生活の動物なので、飼い主が無理に運動させたり寝ているのを起こしたりするとストレスを感じます。
猫は「寝る子」と書くぐらいでよく寝ます。
老猫になると1日の3分の2ぐらいは寝ていることがあります。
一方、犬は群れ社会の動物です。
いくら老犬になったからといって寝てばかりでは体によくないという自覚を飼い主が持つと犬も運動することに従います。
年老いてきたから寝かせておくのがいいというのは間違いで、適当な運動をさせたほうがいいのです。
老いると好奇心も薄れてくるので、「こんな気持ち良さそうに寝ているのに、起こさなくてもいいか」と思わず、起こして四本足で立たせて運動をさせましょう。
【運動させるメリット】
加齢にともない筋肉が落ちてきます。
肉付きがよかった肢も骨ばってきます。
骨も骨粗しょう症ぎみになります。
つまり骨がスカスカになるのです。
寝てばかりいると、ますますその傾向が強まります。
重力に逆らって立って歩くと、筋肉の落ち方も緩やかになりますが、使わないで放置しておくと細い肢になってきます。
宇宙飛行士が重力のない宇宙から帰ってきたときに、足が痩せるのと同じなのです。
また、骨折の手術をして足を使わないで、ベッドの上で寝てばかりいると足が細くなるのと同じ原理です。
1分でも2分でもいいから立たせましょう。
立たせることで血の循環がよくなります。
寝てばかりいると、骨が出っ張っている部分、肩甲骨、大腿骨などの辺りに床ずれができます。
【運動の仕方】
ほとんどの老犬は、後ろ足が弱くなります。
そのため、ただ立たせているだけではひっくり返ってしまうし、不安定です。
きちんと立たせるには腰と後ろ足の辺りを支えてあげることが大切です。
犬の介護用品として後ろ足と尻尾を出したらいいだけのものが売っています。
そのような用品を上手に使うことで比較的楽に運動させることができます。
犬の介護用品が手に入らない場合は、腰を吊り上げられるような幅の広いニットなどで代用するのもいいです。
朝晩に5分でもいいので若いときに行った散歩コースを歩いてあげましょう。
犬のペースでゆっくりと歩いてあげましょう。
決して引っ張ったりしないようにしましょう。
【健康状態の確認】
散歩に連れていくときに、はたしてこのスピードでいいのかどうか迷うところだと思います。
心電図をつけて散歩するわけにもいきませんから余計に不安になると思います。
人間の場合なら顔色や表情でしんどいかどうかはある程度判断できるのですが、犬の場合は、毛で覆われているので顔色は見分けにくいです。
〈見分け方〉
・口の中の粘膜、舌の色を見てください。
色がピンクならいいのですが、チアノーゼ、つまり青っぽくなればよくないです。
・舌を横にだらりと垂らすのはよくありません。
・体中で呼吸している(あえぎ呼吸)のもよくありません。
以上のような症状が見られたら散歩を中止してすみやかに自宅に連れ帰り安静にしておくことです。
【まとめ】
運動させないでいるとますます筋肉が落ちるので、運動は必要ですが、無理な運動は逆効果です。
適度な運動を心がけましょう。
お読みいただきありがとうございました。
