
オスの老犬がかかりやすい病気(会陰ヘルニア)
【オスの老犬がかかりやすい病気】
筋肉が痩せて臓器が飛び出す病気が「会陰ヘルニア」です。
会陰(えいん)部と呼ばれる肛門の周りの筋肉にすき間ができ、そこに腸や腸間膜、膀胱などの臓器が飛び出してしまう病気です。
5歳以上のオス犬に多く見られ、メス犬に少ない疾患です。
【去勢手術で予防できる疾患】
オス犬は去勢手術をすることで予防できる疾患があります。
前立腺肥大、肛門周囲腺腫、会陰ヘルニア、精巣腫瘍、など。
去勢をする時期は、生後4ヶ月~10ヶ月くらいまでに行います。
最適なタイミングは、生殖能力が完成する前の生後6ヶ月前後です。
シニアの病気だけを防ぐのなら、5~6歳までに去勢手術してください。
去勢手術の費用は、病院によって違いますが、10㎏ぐらいの犬で2万~3万円程度です。
【オスの老犬がかかりやすい会陰ヘルニア】
ホルモンの影響で去勢していないオスに多い病気です。
会陰ヘルニアには、臓器の脱出部位によって「座骨型」「腹側型」「背側型」「尾側型」といいう4タイプがあります。
最も多いのが「尾側型」です。
【症状】
・肛門の周りが膨らみます。
・初期症状として、排便に時間がかかり、きばっている姿勢が長くなります。
・細い便をします。
・症状が進むと、腸などが飛び出します。
・便秘や排便困難になります。
・便に血が混じります。
・稀に膀胱が飛び出します(これは危険な状態です)。
会陰ヘルニアになると、肛門の周りが膨らみます。
腸が飛び出した場合には、便秘や排便困難が見られるようになります。
稀に膀胱が飛び出した場合には、膀胱が反転するため、排尿障害が見られるようになります。
その場合は緊急の対応が必要となります。
【原因】
骨盤の周りの筋肉が痩せて弱くなることが主な原因となって発症します。
男性ホルモンの影響や腹圧の上昇、肥満により内臓脂肪が増えることが原因となります。
会陰ヘルニアは、5歳以上のオス犬に多くみられます。
シニアのオス犬、去勢していないオス犬、吠え癖のある犬に多い病気です。
加齢で筋肉が衰えることも原因のひとつです。
【会陰ヘルニアになりやすい犬種】
会陰ヘルニアを発症しやすい犬種があります。
これは遺伝が何らかの関わりを持っている可能性があります。
かかりやすい犬種は、
ボストンテリア、コリー、ボクサー、ペキニーズなどです。
そのうち95%がオスです。
【診断】
直腸診、レントゲン検査、エコー検査などで診断します。
【治療】
外科的には、飛び出した臓器(腸、腸間膜、膀胱)を元の状態に戻し、筋肉のすき間をふさぐ手術をします。
去勢していないオス犬の場合は再発しやすいため、同時に去勢手術を行うことが多いです。
内科的には、便秘の薬を飲むなどの対症療法になります。
傷口における二次感染を予防するため、抗生物質が投与されることもあります。
直腸に便が溜まってヘルニアを起こさないように、便を柔らかくする便軟化剤が投与されることもあります。
完治を望むなら、外科的手術が必要となります。
会陰ヘルニアは、進行性疾患です。
放置していて、回復や現状維持は絶対にありません。
つまり放置すれば悪化しかありません。
見つけたら早期に治療する必要があります。
【予防】
シニア期の前に去勢手術を行うことで発症率は低下します。
無駄吠えが多いと、腹圧が高くなってくるため、無駄吠えをさせないようにしつけを行うことが重要です。
また、肥満していると内臓脂肪が増えるだけでなく、体全体の筋力が低下しやすくなるため、肥満にさせないようにすることも大切です。
〈ポイント〉
・5歳までに去勢手術する。
・無駄吠えをさせない。
・肥満にさせない。
できる限り若いときに去勢手術をすることで会陰ヘルニアを予防しましょう。
【早期発見のポイント】
・排便の時間が長い。
・便に血が混じる。
・便が以前より細くなっている。
・肛門が大きく感じられる。周りが腫れている。
肛門の周りが膨らんでいる。便秘や排便困難が見られるようなら、すぐに病院に連れていきましょう。
老齢期に入ったら日ごろから愛犬の排尿排便を観察しましょう。
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