
猫のガンを知ろう!(乳がん)
【猫にも多い病気はガン】
猫の2大疾病の1つが「ガン」です。
猫の病気で腎臓病などの泌尿器系の次に多い病気が「ガン」です。
その「ガン」の中でも今回は「乳がん(乳腺腫瘍)」について話していきます。
生後1年未満の猫でしたらすぐに避妊手術をしてください。
それを過ぎた猫の場合は早期発見に心がけてください。
まずは「猫の2大疾病に注意」をご覧ください。
【猫の乳がん】
猫の「乳がん」は「乳腺腫瘍」ともいいます。
ふつうはメスに発症しますが、極めてまれにオスにもできることがあります。
〈特徴〉
犬の乳がん(乳腺腫瘍)の6~7割が良性腫瘍であるのに対し、猫の場合は約8割が悪性腫瘍です。
猫の乳がん(乳腺腫瘍)は肺などの臓器に転移して短い期間に死をもたらす恐ろしい病気です。
治療も難しく、外科手術を行った時点でリンパ節転移が認められた猫は1年以内にすべて死亡したという研究報告もあります。
〈症状〉
初期症状はほとんどありません。
症状が進んでくると以下の症状が見られます。
🐈 乳頭付近にシコリができる。
🐈 お腹を触ると嫌がる。
🐈 食欲が低下する。
🐈 乳頭が赤く腫れている。
🐈 黄色っぽい分泌液が出ている。
乳がん(乳腺腫瘍)を放置すると、腫瘍が皮膚を突き破ったような状態となり、傷口から血液や体液が出てきてしまいます。(これを自壊という)
また、悪臭がします。
その悪臭に引き寄せられたハエが卵を産んでしまうこともあります。
自壊が起きる悲惨な状態となってようやく手術を決断する飼い主もいるようですが、この時点では遅すぎます。
発症しやすい年齢としては「11歳頃」と言われています。
〈予防〉
メスの猫を飼い始めた場合は、2回目の発情(1歳前後)までに避妊手術をしてください。
できれば生後半年くらいまでに避妊手術をすることがベストです。
そうすると乳がんの発症をほぼ予防することができます。
ただ、避妊手術をしたからといって100%乳がん(乳腺腫瘍)にならなくなるわけではありませんから、安心しないでください。
それでも、避妊手術をした猫と避妊手術していない猫では発症する割合が7倍もの差があるという報告もあります。
1歳以上を過ぎてから避妊手術をしても、乳がんの予防には効果は期待できません。
その場合は飼い主が早期発見することが重要となります。
飼い主が気づける症状は、乳腺部のしこりです。
猫には4対の乳腺があります。(合計8個ある)
それは前足の付け根から後ろ足の付け根まで広範囲に繋がっています。
乳腺付近を指などでなでるように触り、日ごろから異常がないかチェックします。
しこり(固い異物)が見つかった場合は早めに受診してください。
乳がん(腫瘍)が2㎝以内に治療した場合は、その後の生存期間の中央値は4~5年で、3㎝を超えると生存期間が6か月に縮んでしまいます。
その理由は、腫瘍が3㎝を超えると、多臓器転移率が上がってしまうからです。
特に肺転移した状態となると飼い猫は苦痛を味わいます。
また、症状を改善する治療手段があまりありません。
〈治療〉
早期発見と早期治療で、根治を目指すことも可能です。
乳がんにかかった場合は、可能な限り外科手術を行います。
外科手術によって腫瘍を完全に切除することが望ましい。
この場合、乳腺の片側全摘出、または両側全摘出となります。
その違いは腫瘍が乳腺の片側だけにあるのか、両側にあるのかの違いによります。
猫の乳腺のリンパ管はつながっているため、一部を摘出しただけでは腫瘍を取り切れず、リンパ節転移や再発のリスクが上がってしまいます。
ですから、腫瘍のある側を丸ごと摘出します。
ここで乳腺を全部摘出するのはかわいそうだと思ってはいけません。
飼い主としてはそう思うでしょうが、摘出しないと体内でガンが増幅し転移が起きてきます。
さらに患部は膿んでひどい痛みを伴います。
そうなると、ほぼ確実に死んでしまいます。
ですから、乳がんと診断されたら、可能な限り外科手術を行って腫瘍の摘出をしてください。
手術後は、免疫細胞療法などを始めます。
おそらくかかっている動物病院によっては治療法に違いがでることがあると思います。
ここでは2つほど紹介いたします。
① 体内にガンの免疫をつくる「樹状細胞がんワクチン」を投与し、ガンと闘う細胞を体の外で活性化して大量に増やしたのちに体内に戻す「活性化リンパ球療法」を合わせて行います。
② 動物用の分子標的薬「トセラニブ」という抗がん剤を投与する。
「トセラニブ」は血管の新生を抑制し、転移の進行を食い止める場合があります。
「トセラニブ」という抗がん剤は、犬用に開発されたものですが、猫の治療にも効果を発揮することがあります。
〈飼い主の心得〉
猫の乳がんも人間同様に、早期発見、早期治療が根治のカギとなります。
普段から飼い猫のお腹を触ってスキンシップをしながら、乳がん(しこり)などのチェックをしましょう!
【我が家の猫が乳がんになった】
2017年の春頃に飼い猫のお腹を触っていたときに違和感がありました。
猫のお腹ってすごく柔らかいのですが、後ろ足の付け根のあたりに小さな固いものがあったのです。
初めは「これ、なんだろう?」と思っていただけでした。
変だな? とは思っていましたが、飼い猫の様子が普段と変わらなかったので様子をみていました。
それでも小さなシコリが大きくなっていることに気がつき不安になり、掛かり付けの動物病院に行って検査してもらいました。
細胞を取り出して、病理検査に掛けてみて「乳腺腫瘍」と判明しました。
医師から「いわゆる乳がんだ」と言われたときは、本当に目の前が真っ暗になったようでした。
しかも、上記に書かれているように、猫の乳腺腫瘍はほとんど悪性で、転移があると手術をしても意味がないといわれました。
腫瘍が2㎝以内か3㎝を超えているかが判断の分かれるところです。
我が家の猫の場合は2.5㎝くらいでした。
さらに手術後の余命も期待できないと言われました。
もちろん手術代の高額な費用も必要となります。
数日、時間をもらって家族で相談しました。
生後三日で親猫に育児放棄された子猫を引き取り、ミルクを与えて育ててきたので我が子のように思ってきました。
そんな我が子がこのまま苦しむのを見ていられないと思い手術を決断しました。
幸いに、肺や他の臓器への転移は見つかりませんでした。
ですが、片側の乳腺を全摘出しました。
そして我が家の猫の場合は、手術前から服用していた薬(痛み止め兼ガン細胞を押さえる薬)を1年間毎日飲ませました。
猫は毎回嫌がりましたが、猫をおさえて顔を上に向かせて口を開けさせます。
そこへ薬をぽっとと落とした後、薬を飲み込みやすくするためにスポイトで水を入れます。
猫がごっくとしたら放してやります。
これを毎日家族と交代で行いました。
こちらの薬を毎日飲ませました。
手術後は1か月に一度レントゲンの検査をします。
月一の検査と毎日の薬の服用を続けて一年がたったときに精密検査をして、転移は見られませんでした。
手術前から医師に繰り返し言われたことは「予後は良くない」と言うことでした。
ですが、手術から1年9ケ月経ちましたが無事でいてくれています。
我が家の猫が発症したときの年齢が11歳でした。(12歳を目前としたとき)
いま思うことは、あのとき手術をして良かったということです。
手術中に医師から連絡が入り、「息を小さくしています。このまま手術をしますか?」
と問われました。
それでも飼い主としては、それに願いを込めるしかなかったのです。
手術前に、一緒に避妊手術もしてしまうと話していたのですが、飼い猫のお腹に脂肪がたくさんあって腫瘍を摘出するのに時間がかかってしまったので、避妊手術は出来なくなったと言われました。
麻酔が切れて痛みと恐怖があったのでしょう、翌日にわたしが引き取りに行った時は飼い主のわたしのことが分らないほど脅えながら怒りを露わにしていました。
でも、自宅に戻ると前日に手術をしてお腹を大幅に切ったとは思えないほど動きまわりました。
わたしが普段使っているイスにジャンプしたときは驚きました。
縫ったお腹が開いてしまうのではないかと心配しました。
その後の毎月の検査は毎回無事であること、つまり転移がないことを祈りながら病院に通いました。
いまは13歳と高齢となって一日のほとんどを寝ていますが、それでも大切な我が子です。
心から願うことは「一日でも長くこの子と一緒に暮らしたい」ということだけです。
そんな愛する我が子のペットクッションが初夏に届く予定です。
いまは楽しみに待っています。
お読みいただきありがとうございました。
