

7歳を超えたら2つの病気に要注意!
【猫の2大疾病】
猫も人間と同じく年齢とともに体は衰えます。
飼い猫にとって、命の危険にさらす「大敵」があります。
まず、「幼年期」の猫で注意しなければならないのは、細菌、ウィルス、寄生虫などです。
幼年期の死因はほとんどこれらが原因です。
赤ちゃん猫は抵抗力が弱いため、必ず病院で予防注射などを行ってください。
「成年期」以降は、「2大疾病」が急激に増えます。
それは、「腎臓・泌尿器系の病気」と「悪性腫瘍(がん)」です。
〈猫の年齢による2大疾病の割合〉
「幼齢期」0歳(人間に置き換えると0~17歳)
感染症、寄生虫症・・・65.9%
消化器系・・・6.6%
呼吸器系・・・6.6%
突然死、その他・・・21%
「2大疾病」の占める割合・・・0%
「成年期」1~6歳(人間に置き換えると17~40歳)
腎臓・泌尿器系・・・20.1%
悪性腫瘍(がん)・・・10.3%
感染症、寄生虫症・・・21.6%
循環器・・・15.5%
事故、その他・・・22.1%
「2大疾病」の占める割合・・・30.4%
「初老期」7~10歳(人間に置き換えると44~56歳)
腎臓・泌尿器系・・・36.1%
悪性腫瘍(がん)・・・16%
突然死、その他・・・13.5%
「2大疾病」の占める割合・・・52.1%
「老齢期」11~20歳(人間に置き換えると60~96歳)
腎臓・泌尿器系・・・36.5%
悪性腫瘍(がん)・・・23.8%
突然死、その他・・・15.9%
「2大疾病」の占める割合・・・60.3%
(ペットフード協会調査)
初老期からの「2大疾病」以外の原因では、呼吸器、消化器、循環器、内分泌(ホルモン)、感染症などが数%の割合であります。
この調査で分かるように、猫の年齢が高くなればなるほど2大疾病の占める割合が多くなります。
特に7歳を超えると「2大疾病」の占める割合が半分以上にまで達します。
さらに老齢期(11歳以上)を迎えるころになると、2大疾病の危険が非常に高まります。
2大疾病を含むこれらの病気は人間が掛かる病気とたいぶダブっているところがあります。
しかし、猫には猫特有の理由があります。
〈猫特有の理由〉
家猫の祖先はもともと中東の砂漠などに住んでいたため、水を効率的に利用する能力が発達したのです。
つまり、水が少なくても生きられるように体の機能(特に腎機能)が出来ているのです。
そのため猫の尿は濃いのです。
(ですから猫を嫌う人は猫のおしっこが臭いというのです)
猫の体にとっては、血液からろ過した老廃物を尿にする腎臓の負担が大きいのです。
【病気の早期発見につながる自宅でできる健康診断】
では、飼い主が普段飼い猫と接する上でどうしたらいいのかということを紹介いたします。
それは“またたびにこい”のチェック法です。
『“またたびにこい”のチェック法』
〈ま〉
「マウス(口)が弱れば体も弱まります。歯肉や歯をチェックします。」
唇をめくって粘膜を見てください。
健康な粘膜はピンク色です。
白く見えたら貧血の疑いがあります。
よだれは口内炎や歯肉炎の可能性があります。
歯肉炎や口内に傷などがあると猫は食べづらくなります。
〈た〉
「食べることが健康の源。食欲をチェックします。」
食欲はあるか、食べづらくしていないかをチェックしてください。
食欲が急激に落ちた場合は体調不良や病気の可能性があります。
飼い猫によく見られる傾向として、好き嫌いがはっきりとあり、好まない餌を取らないことがあります。
それは病気ではありませんが、好まない餌をやり続けて、食事を取らなくなる期間が長くなることは避けましょう。
〈た〉
「体重の増減をチェックします。また、体温をチェックします。」
体重の急な増減は病気の疑いがあります。
定期的に体重測定をしましょう。
それと、餌のあげ過ぎによる肥満には十分注意しましょう。
肥満は猫の健康に良くありません。
体重測定には、出来るだけ、0.01㎏単位で測れるデジタル体重計がおススメです。
測定には、猫をペットバッグに入れたうえで人間が抱きかかえて測ります。
そのうえで人間とペットバッグの重さを引き算します。
老齢期になると多少の体重減少は起きてきます。
急な体重の変化に注意しましょう。
飼い猫の平熱を知っておきましょう。
猫の平熱は38.0°C台です。
39°C前後あると微熱となり、39.5°C以上で高熱が出ていることになります。
猫は人間のようにじっとしていないので、可能な限り10秒で検温できるペット用体温計を使用しましょう。
〈び〉
「美毛の衰えから異変を知りましょう。また、スキンシップで触診します。」
脱毛や毛玉はないか、地肌の炎症やフケはないか、ノミはいないかをチェックします。
また、撫でながら触診して、しこりや腫れ、痛がる部位がないかチェックします。
特に、初老期からはお腹の触診をまめにやりましょう。
抜け毛が多い場合は皮膚疾患の可能性があります。
〈に〉
「尿の量・回数の変化を日々確認します。」
尿の量や回数が異常に減ったり増えたりしていないかをチェックします。
尿の色が赤っぽかったら、膀胱炎や尿路結石の疑いがあります。
尿のチェックは、いちいち猫がトイレに行くたびについていくわけにもいかない事情もあります。その場合は、猫のトイレをよくチェックしましょう。
触診や口のケアはしても尿のチェックを嫌がる人がいますが、初老期(7歳以上)からの猫にとってはとても大切なチェック項目です。
多少臭いと思っても、嫌がらずにやりましょう。
〈こ〉
「行動に異常がないか、様子に変化がないかをチェックします。」
普段やらない行動を取ったりしていないか、表情や歩く様子をよく見て普段との違いをチェックしましょう。
そのためには普段から飼い猫の歩く姿や行動などの様子をよく観察していることが必要です。
耳や尻尾の動き、鳴き声などで訴えることもあるのでよく観察しましょう。
お尻の臭い袋が破けたりすると、お尻を下げて歩くことがあります。
また、嘔吐、痙攣などにも注意しましょう。
〈い〉
「息の乱れや異臭をチェックします。」
呼吸の乱れや呼吸器の異音がないかをチェックしましょう。
息に異臭があるときは、歯周病や内臓疾患の疑いがあります。
呼吸の乱れの場合、恐怖や発熱が原因であることもあります。
飼い猫の息の乱れや異臭に気がつくためには、普段から飼い猫の顔と接近していなければなりません。
普段から飼い猫の顔と飼い主さんの顔を突き合わせるスキンシップをしたり、抱っこしたりすることで異臭や異常な呼吸に気がつきます。
【飼い猫の健康は飼い主しだい】
飼い猫の寿命は延びる傾向にあります。
飼い猫の「平均寿命は15.3歳」です。
中には20歳以上生きる猫もいます。
愛する飼い猫には健康で長生きして欲しいですよね!
猫は、痛みがあっても「痛い」と言わないし、鳴きもしなければ、顔にも出さない傾向が強いのです。
ですから、飼い主が日ごろからチェックして、もし何かあっても早めに気づいてあげましょう。
合わせて『猫の腎臓病を知る』と『猫のガンを知る(乳がん)』をご覧ください。
お読みいただきありがとうございました。
