
【犬の巻き尾について】
犬には“くるん”とした巻いた尻尾(巻き尾)とピンと伸びた尻尾があります。
巻き尾は、柴犬や秋田犬の魅力のひとつでしょう。
《巻き尾とは》
巻き尾とは、犬の尾の形状の一種で、カタツムリの貝殻のようにくるりと巻かれた形状をした尾のこと。
付け根は太く、先は細いのが特徴。
ほとんどの日本犬は、この巻き尾です。
ですから日本人には馴染みは深い。
実は、巻き尾は、犬が人間によって飼育され、家畜化(失礼な言い方だな!)される過程で狼のように本来ピンと立っていた尾が、筋力の低下で生じた形状とされています。
日本犬の祖先は、もともとはピンと立った立太刀尾だったようです。
縄文時代の犬は太刀尾だったと考えられています。
狼のように野生の集団で生きる必要がなくなり、尻尾を使った複雑なコミュニケーションをしなくなったため、筋力の低下が起きたと考えられています。
比較するのもなんですが、豚の尻尾も同様の経緯で生じています。
イノシシは真っ直ぐな尾をしていますが、イノシシを家畜化した豚はくるんとした巻き尾です。
つまり、巻き尾は、家畜化された動物に現れる特徴のひとつなのです。
(なんてこった~!)
ちなみに、日本犬のスタンダードを定めた「日本犬標準」には「差し尾または巻尾」と明記されています。
「巻き尾」は、日本が誇る世界遺産級の特徴なのです。
【尻尾の役割】
犬にとって尻尾はコミュニケーションの道具であり、重要な機能をはたすものです。
犬が全力疾走するときには、差し尾の犬も巻き尾の犬も尻尾を真っ直ぐ伸ばして走ります。
犬は、尻尾を微妙に左右に動かして尻尾で舵取りの役割をするのです。
左右に急な方向転換ができるのも、尻尾という舵があるおかげなのです。
ドッグランなどで愛犬が全力疾走していたら、尻尾をよく観察してみることをおススメします。
【代表的な巻き尾の犬種】
「柴犬」
巻き尾と聞いて多くの人が思い浮かべるのが柴犬ではないでしょうか。
柴犬には最もポピュラーな赤毛の他に、黒毛、胡麻毛、白毛のタイプがいます。
天然記念物に指定された日本犬の中では唯一、小型犬です。
飼い主には忠実ですが、見知らぬ人や犬に対しては警戒心が強い一面があります。
洋犬のように四六時中飼い主とベタベタすることは好まず、気分屋でツンデレな性格をしています。
「秋田犬」
もともとはマタギと呼ばれる猟師が猟犬として飼育していたものが、闘犬の奨励によって闘犬として改良されていった歴史を持っている犬種です。
(なんだかかわいそう~)
天然記念物に指定された日本犬の中では唯一、大型犬です。
忠犬ハチ公のイメージから、主人に忠実で優しい性格を思い浮かべる人が多いでしょう。
もちろん、主人や家族には忠実で愛情深く接しますが、その反面、猟犬や闘犬としてたどってきた歴史から、警戒心が強く闘争的な資質も持ち合わせています。
「アラスカン・マラミュート」
名前のとおり、アラスカ原産の大型犬です。
かつては犬ぞりや狩猟、漁業に用いられていました。
フサフサの巻き尾は氷の上で眠る際に顔を覆って暖をとるためだといわれています。
長く人間とともに暮らしてきたため、穏やかで人懐こく、忠実で献身的な性格の犬です。
「シーズー」
中国原産の小型犬です。
名前は中国の空想上の動物「獅子」に由来しています。
古代中国では獅子は神格を持つ動物とされていたため、シーズーも神格を持つ特別な犬として扱われてきました。
愛情深く、外交的で遊び好きな性格をしています。
「バセンジー」
日本ではなじみの薄い犬種です。
古代エジプトではファラオに献上された犬として知られています。
壁画や美術品等にも登場する犬です。
他の犬と大きく違う特徴は、威嚇のために吠えるということをしないのが最大の特徴です。
中央アフリカ原産のため、暑さには強いが寒さには弱い犬種です。
かつては欧米でもてはやされ、「人類が求める理想の犬」とまで称賛された犬種です。
【犬の尻尾の種類】
一口に「尻尾」と言っても種類があります。
《巻き尾以外の一般的な尻尾の種類》
前方に傾斜しつつも先端が背中につかない「差し尾」。
らせん状にくるくると巻く「スクリューテイル」。
体の上に巻き上がりフサフサの毛で覆われた「リス尾」。
まるで刀を立てたようにピンと立った「立太刀尾」。
など。
《巻き尾の種類》
巻き尾といってもバリエーションがあります。
緩やかな巻き状態で、尻尾の間にすき間ができる「並巻き尾」。
(最も好ましい状況とされる)
渦巻状であり、巻き方も硬い「二重巻き尾」。
(尻尾の動きが鈍くなる傾向がある)
背骨の真上に硬く巻き込まれた状態の「太鼓巻き尾」。
巻き尾と差し尾の中間の「半巻き尾(半差巻)」。
(別名「叩き尾」と呼ばれている)
あなたの愛犬の尻尾はどれでしょうか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
