
【犬の病気(腎臓病)】
有毒物質や老廃物が排出できなくなる病気が腎臓病です。
腎臓は、血液を濾過して老廃物と水分とともに排出させるところです。
その他には、骨の代謝、造血、体液の平衡状態を保つ役割もあります。
そうした腎臓の機能がうまく働くなる病気が腎臓病です。
放置しておくと命にかかわります。
高齢の犬に多く見られますが、若い犬でも発症することがあります。
「急性」と「慢性」があります。
急性腎臓病は、救急管理が必要な病気です。
急激な腎機能の低下により死にいたることもありますが、適切な治療を行うことにより腎機能が回復する可能性もあります。
一方、慢性腎臓病は、腎臓が数か月から数年かけて徐々に機能低下を起こしていくものです。
初期のころは、ほとんど症状がでないため発見が遅れます。
時間をかけて悪くなってしまった腎臓は残念ながらもとに戻ることはありません。
【症状】
腎炎などの病気が進行して、腎臓機能がうまく働かなくなります。
悪化すると体に尿素が溜まって尿毒症を発症し、命にかかわります。
〈急性腎臓病〉
・突然ぐったりする
・嘔吐する
・呼吸が荒い
・排尿がない
・意識の低下
早ければ数時間ほどで嘔吐や排尿がないなどの症状を起こし、急激に体調が悪くなります。
適切な治療ができない場合、命を落としてしまう可能性があります。
〈慢性腎臓病〉
・体重減少
・食欲低下
・水をたくさん飲む
・色の薄い尿をたくさんする
・活動的ではなくなる
・嘔吐が多くなる
・口臭がする
・便秘
初期のころは、ほとんど症状がでないため気がつかないことも多いです。
症状は数か月から数年かけて徐々に進行し、末期になると老廃物をまったく排出できなくなります。
尿毒症を起こし、痙攣などの症状がみられるようになります。
【原因】
犬の急性腎炎は、尿路結石症で、オシッコが出なくなるために起こったり、子宮蓄膿症で細菌感染したときなどに起こります。
急性腎炎をそのままにしておくと、慢性腎炎に移行します。
慢性腎炎にかかると、腎臓の組織がもろくなります。
そのため組織がうまく働かず慢性腎不全になります。
【治療】
急性腎臓病の場合は、入院治療が一般的です。
積極的な輸液療法(水分や電解質などを点滴で投与)が行われます。
点滴をしたり、水を多く飲ませたりして、尿量を増やします。
内服薬で尿素を吸着してくれるクレメジンを飲ませたりします。
慢性腎臓病の場合は、程度にもよりますが、腎臓に負担をかけないようにするための内服薬や処方食が処方されます。
脱水が見られる際は、皮下輸液なども行います。
慢性腎臓病は治せないので、基本的に処方された薬や食事は生涯続けることになります。
人間の腎臓病も同じですが、一度悪くなると完治することは珍しいです。
犬の場合は、人工透析や腎移植などがされないため、腎臓が悪くなると、病気の進行を遅らせる治療となります。
ほとんどの場合は、一生つき合っていくことになります。
【予防】
犬が喜ぶからと言って、味の付いたもの、特に塩分のあるものは絶対に与えないことです。
塩分は犬の腎臓に大きな負担をかけます。
また、日頃からオシッコはちゃんと出ているかどうか、観察することが大切です。
オシッコの量に変化が見られたら動物病院で血液検査をしてもらいましょう。
発症年齢の平均は、7歳です。
どの年齢でも発症するものの、加齢とともに増加傾向にあるので、シニア期からは特に定期的な健康診断を心がけて、早期発見に努めましょう。
【かかりやすい犬種】
腎臓病にかかりやすい犬種は特になく、すべての犬種にかかる可能性があります。
慢性腎臓病は、高齢の犬で発生率が高くなります。
【早期発見のポイント】
・食欲がない。
・吐く息に嫌な臭いがする(アンモニア臭)。
・毎日だるそうにしている。
・オシッコの量が多い。
腎臓病は、進行をさせないことが一番大事です。
どんな病気でもそうですが、飼い主さんの日頃の観察がとても大事です。
少しでも気になることがあれば、早めに診察をうけましょう。
お読みいただきありがとうございました。
