
犬の病気(クッシング症候群)
【犬の病気(クッシング症候群)】
クッシング症候群とは、副腎皮質から、コルチゾール(ステロイドホルモン)というホルモンが大量に放出される病気です。
副腎は、腎臓の上にあり、ホルモンを分泌しているところです。
ステロイドホルモンは、全身の代謝を調整しています。
医原性と自然発生タイプがあります。
【症状】
・食欲が旺盛になり、太ってくる。
・たくさん水を飲んで、たくさんオシッコをする(多飲多尿)。
・左右対称性に脱毛する。
・腹部が妊娠したかのように腫れる。
・皮膚が薄くなり弾力性がなくなる。
・皮膚に和紙のような線が入る。
・皮膚に色素が出る。
・腹部が垂れ下がってくる。
以上のような複数の症状が錯綜して出てきます。
これらの症状は糖尿病と非情によく似ていますので、見分けがつきにくいものもあります。
食欲があり、水をよく飲むことは一見いいことと思われがちですが、そうではありません。
過度に飲むようならどこかに異常がある可能性があります。
【原因】
意外と多いのが「医原性クッシング症候群」です。
アレルギーなどを持っている犬が長年の間、副腎皮質ホルモン(ステロイド)を多量に投与されていると、この病気になります。
自然発生クッシング症候群は、副腎皮質が腫瘍化するなどして、コルチゾールが多量に出る場合になるのです。
脳下垂体の前葉や中葉に腫瘍ができて、副腎皮質刺激ホルモンがたくさん作られます。
【治療】
医原性の場合は、副腎皮質ホルモン(ステロイド)の量を少しずつ減らしていきます。
自然発生的になった場合(腫瘍など)は、外科的に摘出します。
副腎腫瘍が悪性の場合は、他の臓器に転移するので、予後はよくありません。
内科療法と外科療法、放射線治療があります。
下垂体の腫瘍の場合は、内科治療が主体となります。
コルチゾールの合成をおさえる薬や、副腎の細胞を適度に破壊することでコルチゾールの産出を抑える薬、ACTH分泌を抑える薬などが使用されます。
どれも症状を緩和するための治療で、完治を期待した治療ではありません。
下垂体腫瘍を取り除く手術や放射線療法などもありますが、
これらの治療の間で生存期間の差はなく、手術の難易度が高いため、下垂体腫瘍に対して内科治療以外の治療を選択する場合は、専門家とよく相談して検討しましょう。
副腎の腫瘍の場合は、外科治療が第一に検討され、腫瘍化した副腎の摘出が行われます。
【予防】
アトピーや皮膚病、免疫疾患などで薬をもらっている場合は、どのような薬を処方されているか、確認しましょう。
副腎皮質ホルモンが処方されている場合、食欲旺盛になり、多飲多尿になることがあります。
水を飲み過ぎていないかよく観察し、そのような症状がでたら必ず主治医に報告しましょう。薬の量が減るかもしれません。
飼い主の判断で勝手に薬の服用を止めるのは大変危険なのでやめましょう。
予防法が確立されていないので、老犬になったら定期的に健康診断を受けましょう。
【かかりやすい犬種】
プードル
ダックスフンド
ビーグル
ボストンテリア
ボクサー
など。
医原性は、どんな犬種にも見られます。
【早期発見のポイント】
・たくさん水を飲み、たくさんオシッコをする(多飲多尿)。
・皮膚が和紙のように薄くなる。
・毛が抜ける。
こんな症状が出たら動物病院に行きましょう。
聞きなれない病気ですが、若いころと比べて、水をたくさん飲むようになったら、病気が隠れているかもしれません。
日頃から愛犬をよく観察しましょう。
どんな病気でも、早期発見が第一です。
お読みいただきありがとうございました。
