
小型の老犬がかかりやすい病気!
【心臓疾患に注意】
小型犬に多く見られるのは心臓の僧帽弁に異常をきたす僧帽弁閉鎖不全症です。
僧帽弁閉鎖不全症は、死に到る病です。
小型犬は人間が改良(交配)を重ねた犬種なので、左心室と左心房の間にある弁(僧帽弁)が完全に閉じにくくなることが多いのです。
ですから、小型犬を飼育している方が一番気をつけなければならないのが「心臓疾患」です。
心臓病は年齢とともに進行する病気ですから、早期発見がなにより大切です。
老犬になると、寝てばかりいることが多くなるため、病気の兆候を見落としがちになるので注意が必要です。
〈洋犬と日本犬との違い〉
小型犬は、すべて洋犬ですから、EPAやDHAの関与はありません。
そのため認知症には成りにくいのです。
洋犬の先祖は、魚からタンパク質を摂取した歴史がほとんどないので、牛肉中心のドッグフードでもトラブルがないのです。
一方、日本犬は、認知症になりやすいですが、比較的心臓が丈夫です。
日本犬の場合は、寝たきりになって、床ずれができるようになっても、心臓は規則正しく拍動を打っていることが多いです。
【僧帽弁閉鎖不全症とは】
僧帽弁とは、左心房と左心室の間にある弁です。
僧帽弁閉鎖不全症は、この弁が完全にふさげなくなる病気です。
僧帽弁が完全に締まらなくなるので、左心室が収縮して血液を送り出すときに、左心房に血液が逆流します。
そのため、左心房が肥大し、左側の気管支が圧迫されて咳がでます。
また、肺静脈の血圧も上がって、後に肺胞などの血液成分が漏れ出して、肺水腫になるなどの異常がでてきます。
急激に肺水腫が起こると死にいたります。
【症状は】
飼い主にわかりやすい症状としては次の5つがあります。
1 咳をする。
2 呼吸が大きくなる
3 元気がなくなる。
4 散歩に行きたがらない。
5 食欲が落ちてくる。
〈咳をする〉
初期症状としては、軽い咳をします。
それは四六時中ではなく、激しい運動をしたとき、喜んだとき、興奮して鳴いたとき、日の出前の気温が下がるときなどに咳きこみます。
だんだんと咳の回数が増えてきます。
重症になると、ちょっと動くだけで咳をし始めます。
こうなると絶え間なく咳が出るので眠ることができなくなります。
症状が進むと、舌の粘膜の色が青っぽくなります。
危篤状態になると、舌が黒くなります。
〈呼吸が大きくなる〉
心臓が悪くなると、寝ていても胸の辺りが上下していることがわかります。
暑い季節に、散歩から帰宅してからもずっと大きな息をしている場合は心臓疾患の可能性を疑ってください。
〈元気がなくなる〉
この病気に限らず、重い病気のときは元気がなくなります。
ですから、飼い主さんの「なんとなく元気がないな」という感覚は非常に大切です。
〈散歩に行きたがらない〉
健康な犬は、散歩という言葉を聞くと喜ぶものです。
ですから、急に散歩好きの飼い犬が散歩嫌いになったら、心臓疾患の疑いがあります。
室内においても歩いたり動いたりする運動量が減ってきます。
若いときは散歩好きで行動量があった犬が、老犬になってこのような症状が急に現れたら心臓疾患の可能性があります。
〈食欲が落ちてくる〉
加齢とともに食欲は落ちてくるものなので、食欲が落ちただけでは病気がどうかは判断できません。
ですが、食欲が落ちるということは何らかの病が原因であることが考えられます。
逆に食欲があるのに痩せてくる場合も、心臓疾患の可能性があります。
【治療法】
残念ながら完治のための治療法はなく、内科療法が主な治療法となります。
症状の改善をするために、利尿剤や心臓の薬を投与します。
また、低ナトリウムの処方食に切り替えると、ある程度病気の進行を防げます。
食欲のある場合は、処方食にかえてください。
サプリメントとして、「アシスハートQ10」があります。
シニア期になったら、このサプリメントを飲ませると効果的です。
「アシスハートQ10」は薬ではなく機能性食品なので予防にもなります。
【かかりやすい犬種】
基本的に小型犬(洋犬)は全般的にかかりやすい犬種です。
「ミニチュアダックス」「シーズー」「チワワ」「ヨークシャテリア」「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」など。
特に注目するのが、「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」で、1歳の年齢で3頭に1頭がこの病気を持っていると言われています。
【予防法】
大切なことは、愛犬が心臓病になりやすい犬種かどうかを知っていることです。
始めから気に掛けていいないと、早期発見につながりません。
心臓病は、年齢とともに進行する病気ですから、早めの診断が重要です。
老犬になると、寝る時間が多くなり、散歩もあまり喜ばなくなります。
それを老化現象と考えてしまうと、心臓病であることを見落としてしまうことになります。
そうならないためにも、10歳前後になったら、定期的に心臓の検診をしましょう。
心電図、レントゲン検査、超音波検査など。
これらの検査は時間がかかるため、飼い犬の調子が良いときがベストです。
その他に注意すべきことは、寝たきりになった老犬の場合、床ずれの心配に気を取られて心臓のことを忘れがちになります。
心臓が悪くなると動かなくなりますから、かえって発見が遅れてしまいます。
注意が必要です。
【早期発見のポイント】
1 夜明け前などの気温が下がったときに軽い咳をする。
2 飼い主が帰ってきて喜んだときに咳をする。
3 嫌な犬が通った後に吠え、その後に咳をする。
もし、この症状のひとつでもあてはまったら動物病院で診断してもらってください。
お読みいただきありがとうございました。
